ASRock製マザーボードの一部製品では、新しいCPUに対応させるために、特定の手段でBIOS更新をしなければならない場合があります。この場合、通常通りの手順で更新を行なってもBIOSのバージョン自体はアップデートされますが、新しいCPUには対応できない状態となります。
こちらでは下記の一例をもとに説明いたします。
例:Ryzen 7 2700Xを搭載したX570 Steel LegendでBIOSをP1.90からP3.00にアップデートしたところ、Ryzen 7 2700Xでは動作しているが、CPUをRyzen 7 5800Xに入れ替えると動作しなくなる。もとのRyzen 7 2700Xに戻すと動作する。
こちらの例では、Ryzen 7 5800Xを動作させるためには、マザーボードのBIOSダウンロードページに記載されている注意書きにしたがって、アップデートを行なう必要があります。
X570 Steel LegendのBIOSダウンロードページのP3.00の注意書きには次のように書かれています。
*To support Renoir/Ryzen™ 5000 processors, it requires to update the BIOS with Matisse CPU.
*Pinnacle RidgeまたはPicassoを使用する場合、 "Steps to Update Renoir/ Ryzen™ 5000 Supported BIOS" の手順でBIOSを更新してください。
CPUのコードネームを補足して翻訳すると、下記のようになります。
・Renoir(Ryzen 4000番台)とRyzen 5000番台を使用できるようにするには、Matisse(グラフィック非搭載のRyzen 3000番台)を搭載した状態でBIOSをアップデートする必要があります。
・Pinnacle Ridge(グラフィック非搭載のRyzen 2000番台)またはPicasso(グラフィック搭載のRyzen 3000番台)を搭載した状態でBIOSをアップデートする場合には、"Steps to Update Renoir/ Ryzen™ 5000 Supported BIOS"の手順でBIOSをアップデートしてください。
以上より、Pinnacle RidgeのRyzen 7 2700Xで通常通りBIOSをアップデートしても、Ryzen 7 5800Xは動作できないという状態になるわけです。そのため、こちらの例では下記の手順が必要となります。
グラフィック非搭載のRyzen 3000番台を持っている場合:グラフィック非搭載のRyzen 3000番台に載せ替えてからアップデートすることで、Ryzen 7 5800Xが動作できるようになります。
グラフィック非搭載のRyzen 3000番台を持っていない場合:"Steps to Update Renoir/ Ryzen™ 5000 Supported BIOS"の手順にしたがってBIOSをアップデートすることで、Ryzen 7 5800Xが動作できるようになります。
なお、"Steps to Update Renoir/ Ryzen™ 5000 Supported BIOS"の手順は、USBメモリを用意してEFIのBootableディスクを作成し、コマンドラインからのアップデート操作を行なう方式で、2000年前後に主流だったBIOSアップデート手順と似たような方式となっております。そのため、比較的難易度は高めとなります。
BIOSアップデートに必要なCPUを持っていない場合やアップデート手順が難しいと感じられる場合には、下記のBIOSアップデートサービスのご利用をご検討ください。
BIOSアップデート
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BIOSアップデートサービスはご来店いただく以外にも、発送でもお承りしております。発送でご依頼の場合には、下記フォームよりお問い合わせください。
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※本記事作成時点(2021年5月現在)の情報に基づく記事となります。ASRock社での仕様変更などによりこちらの記事とは異なる仕様になる場合がございますので、あらかじめご了承ください。